SMO事業
一般の皆様へ
治験とは
「くすりの候補」は厚生労働省の承認を得て初めて「くすり」として認められます。病院で使われたり薬局で販売されたりしている「くすり」は、必ずこの承認を得ています。
ひとつの「くすり」が誕生するには、通常、十数年もの長い研究開発期間を必要とします。その間、さまざまなテストを繰り返し、有効性や安全性の評価が行われます。しかし、試験管の中や動物を用いた実験を繰り返しただけでは「くすり」として認められません。動物では有効でも“ヒト”には効き目がなかったり、有害な作用を引き起こしたりすることがあるからです。そこで、臨床試験といわれる“ヒト”で有効性と安全性を調べる試験をしなければなりません。この臨床試験の中でも厚生労働省に「くすり」として認めてもらうために行われる試験を「治験」といいます。
新しい「くすり」(医療用医薬品)が誕生するまで
- 基礎研究(2〜3年)
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「くすりの候補」を見つけます。
将来「くすり」となる可能性のある新しい物質(成分)を発見したり、科学的に創り出したりするための研究をします。ここではたくさんの「くすりの候補」が発見されますが、この中からくすりになる物質が発見される可能性は「5000~10000分の1」と言われています。
- 非臨床試験(試験管内や動物を用いた試験)(3〜5年)
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新規物質(くすりの候補)の有効性と安全性を調べます。
「くすり」として可能性のある物質の有効性や安全性を調べます。また、その物質の体内での吸収・分布・代謝・排泄(動態といいます)や、品質、安定性に関する試験なども行います。
- 臨床試験(治験)(3〜7年)
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“ヒト”を対象として有効性と安全性を調べます。
「くすりの候補」(治験薬)が安全で、実際に“ヒト”に効果があるかどうか調べます。病院などの医療機関で、健康成人や患者さんを対象に同意を得たうえで行われます。
治験は主に3つのステップに分かれています。- 【 第I相試験(臨床薬理試験) 】
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少人数の健康成人を対象に、「くすりの候補」の安全性や体内での治験薬の動態を確かめます。
- 【 第II相試験(探索的試験) 】
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対象となる病気にかかっている比較的少数の患者さんを対象に、安全性や有効性を調べ、より良いくすりの使い方などを確かめます。
- 【 第III相試験(検証的試験) 】
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対象となる病気にかかっている多数の患者さんを対象に、第II相試験の結果から得られた「くすりの候補」の安全性や有効性、使用方法などについて最終的な確認を行います。
- 承認申請と審査(1〜2年)
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厚生労働省へ承認申請をして審査を受けます。
臨床試験で有効性や安全性などが証明された治験薬は、厚生労働省に製造承認の申請を行います。厚生労働省で数段階の審査を受けて承認されると、はじめて「くすり」として製造・販売することができます。
治験に参加するには
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参加方法の一例
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通院・入院中の医療機関で医師から治験への参加を紹介される。
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新聞などに掲載された治験参加者募集の広告や折込チラシを見て申し込む。
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インターネットで治験参加者を募集しているサイトに登録をする。
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[ 治験の参加に当たって ]
1997年のGCP改正により、治験の参加にあたり、文書による「インフォームド・コンセント」の徹底が義務付けられています。インフォームド・コンセントとは、患者さんが治療を受けるに当たって、「自分の病気のことやその治療方針について医師等から十分に説明を受け、患者さんが説明の内容をよく理解し納得したうえで、患者さん自身の意思で治療を受けることに同意(承諾)する」という意味の行為です。これは、一般の診療でも必要な行為ですが、特に治験においては参加していただく患者さんの人としての権利(人権)や安全を尊重し保護する意味で欠かすことのできない重要な行為です。
そのために、治験を行う医師や治験専門のスタッフから、治験の目的や方法、治験に使用する「くすりの候補」の性質(予想される効き目や副作用)などが書かれた「説明文書」が手渡され、その内容が詳しく説明されます。
GCP(good clinical practice) : 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
[ 治験の開始 ]
治験は新薬の開発に向けて正しいデータをとることを目的とするとともに、最新の医療(治療)でもあります。治験の実施中は担当医師の指示を守ってくすりを服用したり、決まったスケジュールにそって来院いただいたりと、通常の診療よりも多くのルールを守っていただく必要があります。
そのため、治験実施中は治験コーディネーターが患者さんお一人お一人を担当し、安心して治験に参加できるようにサポートをいたします。
[ プライバシーについて ]
治験を行った病院や製薬会社等の関係者から外部に情報が漏洩されないように、治験にご参加いただいた方から得られたデータは厳重に守られています。
[ 副作用について ]
治験に関連して健康を害すようなことが起きた場合には、必要な治療と適切な補償が受けられます。